そもそも不妊とは?
中医学では周期法といって、女性の心と体のバイオリズムを3つの期間にわけて、それぞれの期間で漢方薬を飲み分けたり、適した養生法をとることによって、不妊に対応していきます。
この時に指標となるのが、現代の不妊治療でもよく使われる基礎体温表です。
上図は28日周期で、理想的な基礎体温表です。
生理期間中の1~7日を生理期、次の8日目~14日を卵胞期、最後15日目~28日までを高温期、といった具合に区切ります。
生理周期が28日より長い人、短い人は、卵胞期を調整していきます。
それぞれの期にあった過ごし方
それぞれの期にあった過ごし方と食養生をご紹介します。
これらは一例で、度重なる治療でホルモンバランスが崩れている方や、基礎体温が一定していない方はまた別の方法がありますので、自己判断せず、是非ご相談にいらしてください。
生理期は新しい1個の卵子を迎えるため新しく環境作りをするおそうじの時期です。粘膜を剥離・溶解して生理として排出する、このように組織を全部作り直す器官は他にはありません。
★生理期の養生法★
体力と栄養が低下しますので、下半身をしっかり温め、冷たいものの飲食はしないように、黒豆・なつめ・プルーンなど気血を養う食べ物を積極的にとりましょう。
卵胞期には、卵巣内では1個の卵胞が成熟に向かいます。
つまり質の良い卵を育てる時期、各細胞へ栄養とホルモンの供給が円滑にすすむように心身ともに健康でありたいものです。
★卵胞期の養生法★
しっかり動いてきれいな酸素を体内に入れ、気の流れを良くしましょう。また睡眠を十分に取ることも大切です。赤身の肉、大豆、卵など良質なたんぱく質をしっかりとりましょう。
高温期は受精卵を着床・養育できる体制を整える時期です。エネルギー代謝を高め、生理期や卵胞期より0.3℃~0.5℃体温を高く維持します。この時期はすでに着床している可能性もあるので、激しい運動は避けるべきです。
★高温期の養生法★
血流が良いと赤ちゃんのベッドである子宮内膜がふかふかで温かい状態になります。しょうがやにんにく、鶏肉で体を内側から温めましょう。
基礎体温表
まだはじめられていない方は、一度基礎体温表をつけてみてはいかがでしょうか。基礎体温表は不妊だけでなく、生理痛や生理不順、腰痛、頭痛、更年期など女性の諸症状の解決に実によく役立ちます。
右のアイコンをクリックすると基礎体温表が別窓で開きます。
印刷して是非ご利用ください。
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いろいろな基礎体温表
高温期が低く短い
高温期が12日未満、低温期との差が0.3℃未満の場合、黄体不全や卵胞発育不全の可能性が高いです。
卵胞の発育促進を中心に補腎薬で対応していきます。
低温期が短い
生理周期が25日未満、排卵が早い傾向があります。
卵巣機能低下、卵胞発育不全の可能性があります。腎を補いながら熱性の症状を改善していきます。
波動が激しい
低温期・高温期ともジグザグで波動が激しいのは、高プロラクチン血症の可能性が。ストレスを強く受けていたり不規則な生活を送っていてもこうなります。
一相性
高温期がまったくなく、全体的に体温が低い、無排卵の可能性があります。排卵障害の原因を調べるとともに、腎を補い、血のめぐりを良くしていきます。
低温期が長い
排卵日が遅いため、卵胞の発育が遅い傾向があります。体を温めるエネルギーが不足した状態(腎陽虚)、良い血を養い、気血のめぐりを良くしていきます。